
都市部と地方でここまで違う給油環境
全国のガソリンスタンド(以下SS)はピーク時の1994年度に6万店を超えていましたが、2024年度末には27,414店まで減りました。
減少の背景には車の燃費向上や人口減少に加え、設備更新費の高騰と経営者の後継者難が挙げられます。
都市部では人口と交通量が集中しているため比較的密度が高い一方、地方では最寄りSSまで15km以上離れる「SS過疎地」が282市町村に点在し、買い物や農作業で長距離移動を強いられるケースが増えています。
24時間営業は都市中心、地方は時短・休日休業が主流
都市部では夜間の商用車需要と幹線道路沿いの交通量を背景に24時間営業が一般的ですが、地方では人件費と深夜帯の需要が見合わず時短営業が主流です。
大手チェーンが国道沿いに出店している地域を除くと、平日7時〜20時・日祝休業という店舗も珍しくありません。
灯油の配達サービスで経営を補っているスタンドもあり、冬季は「18時以降セルフ給油のみ」というハイブリッド運用が増えています。
夜間に急な給油が必要な場合は、幹線道路沿いのセルフSSをナビで事前確認するか、地域のJA-SSの営業時間をチェックしておくと安心です。
セルフとフルサービスの割合――数字で見る都市・地方格差
石油情報センターの調査(2025年3月末)によると、全国のセルフSS比率は39.5%。
都道府県別では神奈川県が57.7%とトップで、都市近郊ほどセルフ化が進んでいます。
一方、秋田県は26.0%にとどまり、地方ほどスタッフ給油(フルサービス)の比率が高い傾向です。
セルフ化が遅れている要因は、
①高齢ドライバーへのサービス需要、
②有人監視が必要な消防法上の規制に対応する人員確保の難しさ、
③セルフ機器導入コストの回収リスク、の3点が挙げられます。
ただしセルフ化は年1ポイント強のペースで拡大しており、地方でも主要国道沿いから徐々にセルフ比率が高まっています。
セルフSSは人件費を抑えられるためガソリン単価が2〜3円/L安いケースが多く、価格に敏感なユーザーには魅力的です。
対してフルサービスはタイヤ空気圧や窓拭きなど付加価値でリピーターを確保しています。
地方で賢く給油するコツは、日中はフルサービスで点検を兼ねて少量給油し、ロングドライブの前日夜にセルフで満タンにする使い分けを覚えることです。
生活拠点の近くに24時間セルフがない場合は、カード会員価格や給油アプリのクーポンで1〜2円差を埋める方法も検討しましょう。
ガソリンスタンドの数は今後も緩やかに減少すると見込まれますが、オイル交換や災害時給油など地域インフラとしての役割はむしろ重要度を増します。
営業時間やサービス形態を把握し、セルフとフルサービスを使い分けることで、地方生活でも燃料コストと安心のバランスを最適化できます。